〜風邪をひいたときに気をつけること〜
1. はじめに
パーキンソン病を治療している人が風邪をひいたとき、市販の風邪薬を飲んでいいのか迷うことがあります。実は、パーキンソン病の薬と風邪薬には相性の悪いものがあるので、注意が必要です。
今回は「パーキンソン病患者が風邪薬を使うときに気をつけるポイント」をわかりやすく解説します!
2. 風邪薬に含まれる成分とパーキンソン病の薬の影響
多くの総合感冒薬(風邪薬)には、以下の成分が含まれています。
(1)アセトアミノフェン(解熱鎮痛成分)
→ 熱や痛みを抑えるための成分。
→ 基本的には安全ですが、パーキンソン病の薬と一緒に飲む場合、肝臓に負担がかかる可能性があります。
(2)デキストロメトルファン(咳止め)
→ 咳を抑えるための成分。
→ パーキンソン病の薬(特にゾニサミド)と相性が悪いことがあり、「セロトニン症候群」という危険な状態を引き起こす可能性があります。
セロトニン症候群とは?
• 症状: 発熱、興奮、筋肉のこわばり、震え、血圧の上昇
• 危険性: 重症化すると意識障害やけいれんを起こすこともある
(3)クロルフェニラミン(抗ヒスタミン成分)
→ くしゃみや鼻水を抑えるための成分。
→ 脳に作用して眠気を引き起こすため、パーキンソン病患者では認知機能の低下や動きの悪化につながることがあります。
(4)グアイフェネシン(痰を出しやすくする成分)
→ 基本的には安全ですが、ごくまれに胃腸の不調を起こすことがあります。
3. パーキンソン病の薬との影響
パーキンソン病の治療で使われる薬には、以下のようなものがあります。
薬の名前 | 役割 | 風邪薬との注意点 |
レボドパ | 脳のドーパミンを補う | 風邪薬によって効果が弱くなる可能性 |
ベンセラジド | レボドパの働きを助ける | 影響は少ないが慎重に使用 |
エンタカポン | レボドパの効果を長持ちさせる | アセトアミノフェンとの併用で肝臓への負担増加の可能性 |
ドロキシドパ | 低血圧を防ぐ | 風邪薬によって血圧が上がることがある |
ゾニサミド | パーキンソン病の症状を軽減 | デキストロメトルファンと併用でセロトニン症候群のリスク |
4. どうすれば安全に風邪薬を使える?
(1)風邪をひいたときの対処法
• まずは 「風邪薬を飲む必要があるか」 を考えましょう。
• 水分補給と休息が最優先 です!
(2)使える風邪薬は?
医師や薬剤師に相談してから使うのがベスト! とはいえ、次のような薬は比較的安全に使えます。
症状 | おすすめの薬 |
発熱・頭痛 | アセトアミノフェン単体(カロナールなど) |
咳 | 麦門冬湯(ばくもんどうとう)などの漢方薬 |
鼻水・くしゃみ | 抗ヒスタミンを含まない点鼻薬(ナザールなど) |
痰がからむ | 去痰薬(カルボシステインなど) |
5. まとめ
• パーキンソン病患者は風邪薬に注意が必要!
• デキストロメトルファンは「セロトニン症候群」のリスクがあるためNG!
• クロルフェニラミンは眠気や認知機能の低下を引き起こすため注意!
• 風邪薬を使う前に医師や薬剤師に相談しよう!
風邪のときは、まずはしっかり休むことが一番の薬です!
無理せず、体を大切にしてくださいね。